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合成洗剤は、本当にそんなに危険なものなのか? その1

「合成洗剤の毒性」について〜急性毒性

 肌荒れ、手荒れから始まって、ガンや内臓障害、奇形児の出産まで、
 世間では合成洗剤は、あらゆる恐ろしいことの原因と考えられています。
 はたしてこの見方は正しいのでしょうか?
 合成洗剤は、本当にそんなに恐ろしいものなのでしょうか?
 これから見ていきます。



 
 合成洗剤に限らず、一般に化学物質の毒性と考えられているものには、次のようなものがあります。

 ・慢性毒性
 ・急性毒性


 「慢性毒性」は、長期にわたって摂取を続けたときに現れる毒性、健康被害です。

 「急性毒性」は、飲んだり触れたりした場合に、すぐに起こる健康被害のことを言います。

 では、世間で言われている「合成洗剤の毒性」には、どんなものがあるでしょうか?一般消費者向けの書籍やインターネット上の情報などを見ると、だいたい下のように整理できます。

・発がん性
 文字通りがんを誘発する毒性です。慢性毒性に分類されます。

・発ガン補助性
 その物質には発がん性はありませんが、発ガン物質と結びつくことで、発がんさせや すくする働きをする毒性です。これも慢性毒性といっていいでしょう。

・催奇形性
 妊婦が摂取すると、胎児が奇形になる毒性です。

・ハゲる
 毒性と言っていいのかどうかわかりませんが、いわゆる合成シャンプーを使うとはげると言われることがあります。
  
・アトピーの原因になる
 しばしばアレルギーと混同されますが、アトピーとアレルギーは違います。合成洗剤から石けんに切り替えることで、アトピーが良くなったという話は良く聞きます。

・アレルギーになる
 アレルギーとは、抗原抗体反応。合成洗剤が抗体(アレルギーのもと)となり、人によってはアレルギーを引き起こすことがあります。

・手荒れ/肌荒れになる
 合成洗剤は肌荒れの原因になる。石けんを使いなさいとよく言われます。

・体に蓄積される
 合成洗剤は体に吸収、蓄積されて、内臓疾患など様ざまな健康被害を引き起こすとされています。

 「毒性」と一般に言われる中身を分類、整理するとこんな感じになります。これらは、毒性の中でも慢性毒性に分類されるものです。が、慢性毒性と急性毒性の両方を説明すると、長くなってしまうので、このページでは急性毒性のみについて説明します。

合成洗剤の慢性毒性

 合成洗剤は、「飲むと死ぬ」というようなことが言われることがありますが、主に問題にされているのは、そんな急性毒性よりも慢性毒性の方です。が、急性毒性についても心配する人がいるのは確かですし、実験データもありますので、ご紹介したいと思います。

 合成洗剤に限らず化学物質の毒性の有無を調べるには、一般にネズミやラットなどの実験動物を使います。エサに混ぜて食べさせたり、静脈注射、皮下注射、体に塗りつけるといった方法で調べるのです。

 ネズミのような哺乳類は、細菌類などと違い個体差が大きく、体の大きさや体重、毒性物質への感度などが、個体により大きく異なります。そこで、実験動物の半数が死亡した時の投与量を、毒性値として用いるという方法がとられています。「LD50」と呼ばれる方法です。

 界面活性剤のような化学物質の急性毒性を調べるのであれば、実験動物の半数が死亡する量はどれほどなのか?という実験を行います。動物の体格差をなくすため、LD50の単位は、mg/kgで表します。体重1kgあたりどれほどの量を与えたら、半数が死亡するのかを示す値です。

 アタックなどの合成洗剤に使われる、LAS(ラス)などの代表的な界面活性剤の急性毒性値は、さまざまな研究機関の実験で調べられ、次のようなデータがあります。

----------------------------------------------
 界面活性剤   対象動物   LD50(mg/kg)
----------------------------------------------
 LAS       マウス     1575〜3400

 AE        ラット      約1000〜26000

 石けん      ラット      10000以上
-----------------------------------------------
 
「洗剤・洗浄剤の安全性等に関する調査報告書」  東京都生活文化局消費者部 より
 
大矢勝著:「石鹸安全信仰の幻」より、データを抜粋


 石けんはよく「無害」と言われますが、こうして動物実験でLD50値が調べられており、決して石けん運動の人たちが言うような無害なものではないことがわかります。
 
 LASはアタックなどの衣料用洗剤に広く使用されている界面活性剤です。東京都の調べ以外のデータを見てもこれに近い値であることから、厳しく見積もって、人間には1000mg/kgという値を採るのが適当と考えられています。

 1000mg/kgは、体重1kgあたり1gです。60kgの人の場合は、60gになります。60gのLASを摂取すると半数の人が急性毒性で死亡するということです。はたしてそれが強い毒性なのかどうかが問題になります。LD50による急性毒性の強さは、次の表のように考えられています。

  
 毒性評価    LD50(経口mg/kg) 
特大 1以下
1〜50
中程度 50〜500
500〜5000
極小 5,000〜15,000
無害 15,000 以上


 この表で見ると、1000mg/kg という毒性は、「小さな」毒性だということができます。普通の合成洗剤で、どれだけの量を食べると食べた人が半数死するかということを考えると、相当たくさんの量を一度に食べなければ死ぬことはないので、急性毒性については、ほとんど心配いらないことがわかります。
 
 例えば代表的なコンパクト洗剤アタックは、界面活性剤の割合が25%です。界面活性剤の中のLASの割合は表示からはわかりませんが、すべてLASだとすると、240g食べると半数の人が死亡するということになります。実際には、より毒性の少ないAEも使われているので、240gよりもっと多く食べなければ死ぬことはないでしょう。

 自殺しようとして一度に多量に食べるのでない限り、少しくらいの量を間違って食べても、まして普通に洗濯などで常識的な使い方をしている限りは、合成洗剤の急性毒性なんて、気にするほどのものではありません。

 でも、「長年使い続けたらガンになったり、体がおかしくなったりするんじゃないか?」
と考える人がいるかもしれません。でも、それはまた別の毒性試験で判断すべき毒性です。

 次は、長期にわたって少量ずつ摂り続けた場合に現れる毒性「慢性毒性」について見てみます。

 こちらをどうぞ。



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